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2018-11-29

上下動や左右のブレが無い安定した走り?

下の直線と上の波線、力を生み出すのはどちらか、と聞かれた場合どうでしょう。


 
速く走ろうとする際に安定したものを求め、上下動や左右のブレが無いのが良いとされますが、人間の本来の動作においては確実に上下動や左右の動きは生じます。それを生み出さないように意識した結果が下の直線。大事なのは上下動や左右のブレをなくすことではなく、それが最も安定した波形に近づくことだろうな、と思う所です。直線の図を見て、力が生み出されているな、と思うことは無いと思いますし。波が生じる結果として力が生じる、というのは感覚的に分かるかな、と。走ることはボールが転がるのとは違う、という基本的な点を思い出せば、きれいな波形を作るイメージの方が良さそうだと理解頂けるかと思います。まぁこの波が正しいのかはよく分からないところですが、この方が速く走れている人が多いのは結果として出ているんですよね。

2018-11-09

ウエイトをしたら速く走れるようになりますか?という謎の質問

件名の通りの話です。

ウエイトをしたら速く走れるようになりますか?

この質問はよく受けますが、返す答えは一つです。

何を質問しているのか分からない。

これです。これ以外の回答ができるとしたら、日常的にあなたがどのような行動をしていて、トレーニングをしているかを全て知っている人でしょう。日々一緒に練習している人か指導してくれている人、日常的に付きまとっている人しか答えられないような質問になりますね。後者だとちょっと怖いですね。本題に戻しますと、何を質問しているのか分からないことを聞いている、ということが分かっていないのだとしたら、それはそれで問題です。これを別の言い方に変えると、

走ると速く走れるようになりますか?

 と聞いているのと同じです。何を聞いているの?と返したくなると思います。この質問、どんなペースでどれくらいの距離を、どのようなrestで週にどのくらいの頻度で、という点を質問したいのかもしれませんが、何を聞いているのかとても曖昧というか、何を聞いているのかまったくもって意味不明です。ウエイトの話でも同様で、どのくらいの重量でどのような種目をrestどれくらいで何repを何setやるのかが不明です。ウエイトをやれば、というだけで共通理解ができることは絶対にありえません。狙いとなるポイントが異なればsetやrepは異なりますし、週間での頻度も違います。そうした点を理解せずにウエイトと一括りにしてしまうのはダメです。先日の日本陸連主催の中距離講習会においても、ウエイトトレーニングに要する時間や種目の話がされていて、S&Cコーチの方が全体の場で質問されていましたが、さて、何を狙いとしたウエイトなのか、という大事な確認をされた方はどれくらいいたのでしょうか。やってる種目だけでは不明な点です。ウエイトをやるということは~~だ、という固定観念で決めつけるのはよろしくないですので。

そんなわけで、

~~は必要ですか??

という質問は、質問のようであるけど何の意味も持たない言葉である、と思ってください。質問なんですが、というのであれば背景からそれなりに聞かないと答えられません。必要な情報を出してもらい確認する、ということにはそれなりの時間を要します。そこに対価というのが発生することになるわけでして、無料での質問に簡単に答えることができないのは、根掘り葉掘り細かく聞かないと答えられないから、その時間を作るならば他の仕事をやらないようにしないとダメだから、というのをご理解下さい。

2018-09-02

因果関係の勘違い

この夏、最も多く話をしたネタとなるのがタイトルにある通りのこと。因果関係の勘違いです。陸上競技を中心に走りの指導、講義をする際、この勘違いに関する指摘をまずします。

地面に大きな力を加えると速く走れる

これが最も多い勘違いですね。昔から言われていることですし、データも多く存在しています。速い選手は地面に大きな力を加えているというのは事実。ただ、これが勘違いを生み出しているわけでして、実際には速く走れるようにはなりません。大きな力を加えることは強いブレーキを掛けることにもなるからです。そして大きな力を加えて生じたブレーキは次の動作に使えないとダメなのです。なので、強すぎるブレーキより適度なブレーキにした方が良いわけで。
大きな力でブレーキをかけてストライドを広げる種目といえば走幅跳なわけですが、そうした動作を走りでやらないのは、接地でブレーキが掛かり次の一歩を出せないからです。大きな力を加えられるしストライドを広げられるし、理屈だけで言えば最高の動作のはずなんですけどね。走るという動作は連続した回転動作の繰り返しであり、一歩だけで考えてはダメ、ということです。なお、2000年代の頭に地面に力を加えている選手は速い、というデータを出した研究者が考え方を変えたのが、義足のデータを取るようになってからです。義足の人たちは地面に大きな力を加えていない。というか加えられない。それなのに健常者と呼ばれる人たちと同様のパフォーマンスを発揮している種目があるわけです。そこから考えたのが、地面に大きな力を加えるというのは速度を上げて走るために必要なブレーキであり、速度を高めるためには必要な要因だが、そこを大きくしても意味が無い、ということです。義足の選手は軽い下腿を用いて素早く脚を前へ移動させている、という点が速く走るための要因となっているわけです。この辺りの勘違いは未だに多くの人たちがしてしまっていますが、故障の原因や、最近よく言われる脚が抜ける、という症状につながるので早めに勘違いを正しい認識に変えてくださいね、と思います。速く走るのには回転数です。

ストライドの大きな要因は脚の長さです

因果関係を勘違いしてしまわないように、要因をしっかりと分けて考えると良いと思います。

2018-04-10

フォームが良くなると何が変わるのか

速く走るためには効率が良いフォームはとても大事なことです。走るのみならず、どの種目においてもフォームというのは重要視されます。では走るということに関して、フォームが良くなるとどのような変化が起こるのか。

1.速く走れるようになる
2.疲れにくくなる
3.大きな力が出せるようになる
4.楽に感じる

などなど様々な効果があるとイメージするかと思います。ただ、よく目にする勘違いとして、上記の2や4を追求ばかりすることがあります。 良いフォームだと楽に走れるというのはあるかと思いますが、どうして楽なのか?これには、それまでの動作が効率の悪いものであったから、力を使うポイントが間違っていたからということが考えられます。では、適切に力が発揮されるとどうなるか?同じ速度においては4の楽に感じるというのが生じますが、ロスが無くなった結果として1の速く走れるようになるや、3の大きな力が出せるようになる、というものにつながります。フォームを改善する狙いとしてより速く走れるようになる、大きな力を出せるようになる、というのがあるのならば、それらが実現した結果としては、

より高い力が発揮される→さらなるレベルで追い込めるようになる→とてもつらい

となります。フォームを改善することで楽になるのは同じ速度や遅い速度。改善されてより高い出力が実現されると、追い込める限界レベルも高まります。この点を勘違いして、フォームが良くなって楽になった、楽じゃないからフォームが間違っている、と述べてしまうのはナンセンスです。走るのであれば距離とタイムを確認するなど、感覚だけでない指標が必要となるでしょう。また、改善に失敗することもありますが、それには筋力が不足している、イメージと実際の動作に違いがあるなど要因は多々ありますので、技術を改良することは新しい動作を身につける難しいことである、というのを理解して実施するべきでしょう。