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2018-09-02

因果関係の勘違い

この夏、最も多く話をしたネタとなるのがタイトルにある通りのこと。因果関係の勘違いです。陸上競技を中心に走りの指導、講義をする際、この勘違いに関する指摘をまずします。

地面に大きな力を加えると速く走れる

これが最も多い勘違いですね。昔から言われていることですし、データも多く存在しています。速い選手は地面に大きな力を加えているというのは事実。ただ、これが勘違いを生み出しているわけでして、実際には速く走れるようにはなりません。大きな力を加えることは強いブレーキを掛けることにもなるからです。そして大きな力を加えて生じたブレーキは次の動作に使えないとダメなのです。なので、強すぎるブレーキより適度なブレーキにした方が良いわけで。
大きな力でブレーキをかけてストライドを広げる種目といえば走幅跳なわけですが、そうした動作を走りでやらないのは、接地でブレーキが掛かり次の一歩を出せないからです。大きな力を加えられるしストライドを広げられるし、理屈だけで言えば最高の動作のはずなんですけどね。走るという動作は連続した回転動作の繰り返しであり、一歩だけで考えてはダメ、ということです。なお、2000年代の頭に地面に力を加えている選手は速い、というデータを出した研究者が考え方を変えたのが、義足のデータを取るようになってからです。義足の人たちは地面に大きな力を加えていない。というか加えられない。それなのに健常者と呼ばれる人たちと同様のパフォーマンスを発揮している種目があるわけです。そこから考えたのが、地面に大きな力を加えるというのは速度を上げて走るために必要なブレーキであり、速度を高めるためには必要な要因だが、そこを大きくしても意味が無い、ということです。義足の選手は軽い下腿を用いて素早く脚を前へ移動させている、という点が速く走るための要因となっているわけです。この辺りの勘違いは未だに多くの人たちがしてしまっていますが、故障の原因や、最近よく言われる脚が抜ける、という症状につながるので早めに勘違いを正しい認識に変えてくださいね、と思います。速く走るのには回転数です。

ストライドの大きな要因は脚の長さです

因果関係を勘違いしてしまわないように、要因をしっかりと分けて考えると良いと思います。