Team inspire official

2018-04-22

距離と時間が練習効果ではない

長距離種目においては速くなるには走り込みが大事とされますが、この走り込みは距離と時間によってその量を見ることが多いと思われます。

月間600㎞走った
昨日は2時間走った

たくさん練習をやったという表現としては分かりやすい気がします。しかし、この量や時間がトレーニング効果に直結するかと聞かれると、とても疑問であると答えます。 600㎞走ったという中身を見ない事には意味がありません。例えば毎日20kmを3時間かけて走ったとして600㎞になります。時間に余裕があるから8時間かけて20㎞走りました、と言われた時に、すごい練習をしているなぁ、と思うことは無いかと思います。中身を見た時に、8時間で20㎞ということは1時間に2.5㎞。100mに2分近くかかっていることになります。遅い。普通に歩くよりも遅いスピードで走れるなんてすごい、という話にもなってしまう気がしますが、こんな練習をしてきた人がマラソンで2時間20分で走れると思いますか?と聞かれれば、多分無理とほとんどの人が答えることとなると思います。大事なのは量や時間ではなく、その中身、質になります。量をたくさんこなすことで質につながる場合もありますが、その場合もどのように量をこなしたかが大事になります。言い方を変えるならば、大事なのは「負荷」となります。スピードをどれくらいにするのか、地面は走りやすいアスファルトなのか、沈み込む緩い地盤の土や砂なのか、アップダウンはあるのか、気温は高いのか低いのかなどなど。距離や時間が無駄というわけではなく、その中身が伴っていなければ意味の薄いものになってしまう、という話です。ですので、ジョグをするにしても環境の悪い路面を選ぶ、反発が良くて前に進みやすいとされるシューズをなるべく使わない、走るのに重要な筋肉を意識して使うなどなど、細かい所を意識して負荷をちゃんと掛けることで、本当に必要なトレーニングが実現されてきます。ただ走った時間や距離を増やせば速く走れるようになる、ということはトレーニングを積んでいけばいくほど無くなっていきます。もちろん、無意識でそうした点をこなしてしまっている人はいますが。

速く走るために必要なのは走った距離や時間ではない。走った際にどれだけのトレーニング効果を生むことができたかである

ということです。

2018-04-13

1500、3000、5000のタイムからの予測

2016年の夏頃に世界のトップ選手のデータから出した数値となります。トップ選手はIAAFのサイトで1500mか5000mの歴代上位選手で、1500、3000、5000の記録を同一年か、前後1年程度に出している選手の数値を使用しました。

1500のtime×4-70秒=5000のtime
  例)4分30秒ならば16分50秒程が目安
    3分26秒ならば12分34秒(実際は12分50秒24)
 
1500のtime×2+30秒=3000のtime
   例)4分30秒ならば9分30秒が目安
     3分26秒ならば7分22秒(実際は7分23秒09)

3000のtime×2-130秒=5000のtime
 例)10分00ならば17分50秒が目安

1500のtime×2+60秒=3000SCのtime
   

1500のtimeと比較して3000や5000が遅い場合、高いスピードを維持する持久力が低いと推測されます。距離の適性が無いとも言えるかもしれません。例の下の段にあるエルゲルージは、5000mが少し長いタイプであったのかもしれません。(PBを出した翌年のアテネオリンピックでは1500mと5000mの二冠となっていますが、timeは13分14秒39。その前の8月に1500mでは3分27秒64)


2018-04-10

フォームが良くなると何が変わるのか

速く走るためには効率が良いフォームはとても大事なことです。走るのみならず、どの種目においてもフォームというのは重要視されます。では走るということに関して、フォームが良くなるとどのような変化が起こるのか。

1.速く走れるようになる
2.疲れにくくなる
3.大きな力が出せるようになる
4.楽に感じる

などなど様々な効果があるとイメージするかと思います。ただ、よく目にする勘違いとして、上記の2や4を追求ばかりすることがあります。 良いフォームだと楽に走れるというのはあるかと思いますが、どうして楽なのか?これには、それまでの動作が効率の悪いものであったから、力を使うポイントが間違っていたからということが考えられます。では、適切に力が発揮されるとどうなるか?同じ速度においては4の楽に感じるというのが生じますが、ロスが無くなった結果として1の速く走れるようになるや、3の大きな力が出せるようになる、というものにつながります。フォームを改善する狙いとしてより速く走れるようになる、大きな力を出せるようになる、というのがあるのならば、それらが実現した結果としては、

より高い力が発揮される→さらなるレベルで追い込めるようになる→とてもつらい

となります。フォームを改善することで楽になるのは同じ速度や遅い速度。改善されてより高い出力が実現されると、追い込める限界レベルも高まります。この点を勘違いして、フォームが良くなって楽になった、楽じゃないからフォームが間違っている、と述べてしまうのはナンセンスです。走るのであれば距離とタイムを確認するなど、感覚だけでない指標が必要となるでしょう。また、改善に失敗することもありますが、それには筋力が不足している、イメージと実際の動作に違いがあるなど要因は多々ありますので、技術を改良することは新しい動作を身につける難しいことである、というのを理解して実施するべきでしょう。