このご時世で競技場が使えないため、ロードでの練習が多くなり故障しそうです、故障しましたというご相談を頂くのですが、本当にそれってロードでの練習のせいでしょうか。
そんな話の前に延期されてしまったオリンピック関連でサーフェスの記事をご紹介いたします。
前回東京五輪、陸上好記録支えた「アンツーカー」
サーフェスをテクノロジーする(1)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO05130810S6A720C1000000?channel=DF220420167276
新記録68個、前回東京五輪支えた「夜の保守作業」
サーフェスをテクノロジーする(2)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO09596560W6A111C1000000?channel=DF220420167276
「記録の出やすさ」と「筋肉負担軽減」両立への挑戦
サーフェスをテクノロジーする(3)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO09596580W6A111C1000000/
このサーフェスの話から理解して頂きたいのは、
皆さんがタータンと呼んでいるものはタータンでは無い
ということです。全天候型の陸上競技場、赤や青の表面をしておりますが、あれはタータンではありません。競技場ごとに商品は異なるわけで、タータンと未だに呼んでおりますが、これはnintendo switchを見てファミコンと呼んでいるのと同じです。何で未だにこう呼ばれるかというと、歴史的に受け継がれているからだと思います。陸上部やクラブチームなどに入って競技場で会話をする中でタータンという言葉を覚えたと思います。よって、このタータンという呼び方は顧問の先生や先輩から受け継いだ伝統でしょう。多分この伝統が途切れることは無いと思いますが、取りあえずサーフェスという呼び方でよろしくお願いします。奥アンツーカ、長谷川体育など国内の会社が施工しております。
八王子市の富士森公園に全天候陸上競技場誕生
http://www.hasetai.com/example/detail/1632/?const=1
吹田市にブルートラックと人工芝フィールドの陸上競技場誕生
http://www.hasetai.com/example/detail/1627/?const=1
どちらも長谷川体育施設さんによる施工で表面はレヂンエースです。
レヂンエースです!!
http://www.hasetai.com/method/methodname/16/
ということでタータンでは無いです。さて、サーフェスの話で無駄に時間を費やしましたが、引き継がれる伝統というのはこうした用語に見て取れることがご理解頂けたかと思います。で、タイトルのロードを走ることにおいても、この伝統があるんじゃないのか?というお話です。少し考えて頂ければ分かる通り、今使われているシューズと30年前のシューズではショック吸収能力は明らかに違います。厚底ブームが来ている昨今では、薄い靴と比較してショック吸収能力が高いと皆さん言います。それなのに昔から言われているロードを走ると故障のリスクが高まるというのはおかしくないですか?ショック吸収能力が高まってスピードが出るようになったというのであれば、それはロードを走るからではなく速度や負荷の問題ということになるかと思います。
技術不足によるものや練習のし過ぎをロードのせいにしていませんか?
例えば、フォームを一つ例に取りますと、踵からの接地は衝撃が小さくて故障のリスクが低いと言われます。論文をいくつか眺めましたが、そのような結論に導いています。しかし、別の角度から見てみると踵からの接地により故障のリスクが高まるということも言えそうです。ハンドボールにおけるACL(膝前十字靱帯損傷)の例を眺めると、踵からの接地後に身体が傾くことなどで生じています。
www.bookhousehd.com/pdffile/msm164.pdf
これはジャンプシュートをゴール前で打つというハンドボールの競技特性によるものだと思われますが、走るという単純動作においても路面が完全に平面とは限らないので、踵から接地した後に膝が完全に固定されることはありません。そうした微妙な路面の凹凸によって膝へのダメージが生じたりするわけですが、それって靴のせいですか?違いますよね。ロードを走るのが苦手な人にあるのが、この路面の違いに適応できないというものです。全天候型の競技場において走る時の力の使い方とコンクリート、アスファルトなどでの使い方には微妙な違いが必要になります。そうした違いを意識せずに全く同じ動きで走る、微妙な路面の違いを意識しないで走るといったことが故障のリスクを高めてしまっていると思われます。シューズの機能がこれだけ向上している今、昔に比べてロードで走ることによる故障のリスクは減っているはずです。それなのに故障してしまうというのは、ロードを走るということへの技術不足か、走り過ぎです。今一度、自分の走り方、路面をしっかりと把握しているかという点を意識して、故障のリスクを減らすようにして練習をしてみてください。
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